08/06/2024
#はじめ文庫よりお知らせ
庭に、紫陽花の花が満開です。この3、4メートルにも伸びた、雨に美しい花は、実はお隣りとそのお隣りの家に植わっているのが、花はみなうちの庭に向かって咲き誇っているのです。めでたや、ありがたや。
6月は15日16日の第3土日12時ー18時を開室しています。
よむ@はじめ文庫は、森鴎外の「雁」を用意しました。
声に出して読んでみませんか。
「雁」は鴎外代表作の一つ。近代小説の中で「雁」ほど見事な地図小説はないと言われます。名作です。
帝大生岡田が散歩のコースにしているのは、東大の鉄門前の下宿から、無縁坂を下って、不忍池に出、そのまま上野公園を歩いて、上野広小路から仲町を通って、湯島の坂を登り、下宿に戻ると言う約4キロの道のりです。これは明治17年次測量の「五千分の一東京地図」とほぼ一致しているそうで、さらに当時の開化の世相から置き去りにされた、すがれた風景が、目に見えるように現れてきます。
今でも東大の敷地の外側をぐるりと回って、不忍池に出る無縁坂を歩くとき、建物は変わったけれど、侘しさの残るしっとりした空気の中に、当時の建物や人たちが重なって見える気がします。
この無縁坂に、高利貸の末造に囲われたお玉という女が住んでいました。毎日散歩する岡田に憧れ、お玉は岡田を心待ちにするようになります。そしてある日、お玉の家の鳥を狙った大きな蛇を、岡田が退治したことで、二人は言葉を交わすようになりました。
お玉は自分の欲望に気がつき、末造の留守に岡田ともっと親しくなりたいと計画します。しかし目的は果たされず終わってしまうのです。
このようなあらすじですが、このたびは17〜20の章にかけて読んでみましょう。
「 末造は女房のお常と夫婦喧嘩をして、家を飛び出した。すぐに無縁坂へ行こうと思ったが、昌平橋から眼鏡橋のたもとを、柳原の方へぶらぶら歩いて行く。夫婦喧嘩をしたあとなので、神経が緊張している。末造は、淡路町から神保町へと歩き、俎(まないた)橋を渡ったところの鳥屋に立ち寄った。
末造は、一つがいの紅雀を、お玉のために買った。賑やかな鸚鵡やインコより、沈んだ強い色の、小さいからだを彩られている紅雀の方が、お玉にふさわしいと思っからである。末造の歩き方は緩やかになり、喧嘩をして荒れた気分は消えていた。そしてこの男のどこかに潜んでいる優しい心が浮び出ている・・ 」
そして、この紅雀を狙った大きな青大将を、岡田が退治する日が来ます。この小説の一番の聞かせ場です。
このようなところを、読んでみましょう。
お気軽にご来室ください。
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