03/03/2016
「小峰尚の秘宝館」
2016年3月6日(日)〜27日(日)
金,土,日曜日,祭日のみオープン
午前11時〜午後5時
ギャラリーバレンド【奥田製陶所内】
茨城県笠間市下市毛45
連絡先:0296-75-0809 (小峰)
あの日、毎年やって来る、テント張りの見世物小屋の正面に掲げられていた看板絵を飽くことなく見上げながら、幼い私は「男子」になった。
その絵の中で、美しく豊満な女が半裸で、その肉体に太々とした、ニシキヘビをからませて、妖艶に微笑んでいた。
この、いわゆる「ヘビ女」の看板絵こそが、おそらく私の創作の強力な原体験となりそこに始まり、そこに帰っていく、その過程の中に私はずうっといるのだ。
小峰尚
見世物小屋、秘宝館や成人映画館の前を通るだけで、好奇心で溢れた少年の胸を震わせ、想像力が頭の中を駆け巡り、パンクしそうになった経験は、私だけでないとおもう。
芸術に興味を持ち始め、前衛芸術と言われているものに出会った時も、同様の興奮を覚えました。一般社会の中では端に置かれ相手にされていないものに出会うと、大人になった現在も、特に好奇心を覚えるのは、自分自身が病気ではないかと疑うほどです。
見世物小屋のような非社会的なものを、専門家達が芸術の一つとして研究し始めた頃、前衛芸術も感覚とセンスの良さが求められ、現代美術と名付けられ地位を得た。今はアートとして社会に役に立つ仕事をするようになる。非社会的なものや異端なものも、ギャラリーや美術館で、アートとして鑑賞されるようにまでなった。
ライオンが牙をむいて荒野にいる時は、生き生きし迫力があるが、捉えられ動物園で囲われた状態に置かれると、ライオンの皮を被った唯の生き物に変わる。芸術と呼ばれるものの中には、見方によっては、悲しいライオンになってしまったと感じる時があります。
小峰尚は動物に近いところで作る。作らざるを得なくなり、時間が経つのを忘れ、朝を迎えてしまうのが常であるという。目を背けられ、吐き気を催すほどのエネルギーを持つ作品を生む。
しかし、それが人の目に触れる時、美術館やギャラリーでの展示になってしまい、誰もが認める、芸術の枠に入る。それと同時に、牙を抜かれたライオンになってしまう危うさもある。
芸術が表現の自由を獲得し、アートが日常的になることに異論はないが、事によっては異端であることが幸せなものもある、と考えています。
作り手批評 藤本均定成