23/12/2021
2021年12月21日(火)~26日(日)
楽園王『脱兎を追う』
http://rakuenoh.tokyo/
12月21日(火)18:00白
12月22日(水)18:00黒
12月23日(木)14:00/18:00黒
12月24日(金)18:00白
12月25日(土)18:00黒
12月26日(日)11:00/15:30白
ごあいさつ。楽園王です。よろしくお願いいたします。「楽園王は30年前、田端depratze(ディプラッツ)にて旗揚げをしました。しばらくはそこを拠点に公演を行い、その後も、神楽坂depratzeや麻布depratzeのフェスなどで上演する機会が多く、その流れでd−倉庫でも多くの作品を発表しています。特に現代劇作家シリーズでは通算7回の公演を行っていて、中止で実現しなかった最後の2フェスも参加予定でした。それと、ご存じの方にはご存知の通り、もう一つの劇団、ウテン結構も全公演がd−倉庫です。そんな訳で、劇場の今年での閉館はかなりショックで、その最後の最後の公演が楽園王ということなので、今回の公演には強い思いが宿ります。ラストだし劇場ぶっ壊しても怒られないかなぁ、なんてことを微塵も考えることなく、えー、考えることなく、真摯に作品作りに励んでおります。今年は、楽園王にとっての30周年公演ということもあり、ずっと実演公演も出来ておらず、今回の公演には「節目」ということをすごく考えます。一つの小さくはない節目・・・、そんな背景を得て上演する作品が、新作の『脱兎を追う』です。『脱兎』は実は、1年前には完成していた戯曲でしたが、上演機会のないままずっと寝かせていて、寝ている間に実は随分改訂を繰り返して、今回の上演に至ります。物語の紹介は、観劇の時の楽しみに取っておくことにして、その代わりの手掛かりとしての他のお話をしたいと思います。昔、経験をした出来事で、その時のことを、今回の出演者で楽園王にとっては旗揚げメンバーでもある秋葉さんの劇団に戯曲として書き下ろしたこともある話なのですが、ある夜に、橋の真ん中で女の人に遭遇したのです。雰囲気。夜、雨が上がったばかりで、霧も出ていて。気温、寒し。回りには誰もいなくて、たった一人で佇んでいて、僕は1回は通り過ぎたのですが、しばらく歩いてから、まさかと思ってね、戻って声を掛けたのです。どうしましたか?みたいな感じだったかな。そうしたら、疲れて休んでいたみたいに話すので、なんか勝手に、人生に疲れて?とか想像してしまって、ちょっと冷や汗かいたりして。でもすぐに、もう行くというので、一緒に橋を渡って。少し話して、橋のたもとにあったコンビニの所で別れたのですが、まあそれを元に書いた戯曲の方では、その後自分の部屋まで一緒に行って、みたいなことになるのですが、現実にはそんな展開はなく。まあ、その時は僕はまだ若くて、その人はたぶん歳上で、髪の長いお綺麗な方だったのですが、ドラマチックな展開なんかゼロで。それで、そんなことがあって、しばらくして、その橋の上が一部では自殺の名所なんて言われていることを知るんです。最近にも人が飛び降りたらしい、なんて聞くことになるのですが、そこで、僕の想像力が暴走するんですね。つまり、あの夜、声を掛けたのは、もう飛び降りた後だった、みたいに。僕は、あの時、間に合わなかった人だった、みたいな。怖くなった僕は、その後に最近のニュースを調べたりもしなかったし、正直に言えば情報が耳に入るのを避けてすらいたので、本当、根拠のない想像に過ぎない話で、だいたい、あの夜の彼女、存在感むっちゃあったし、体温かったし、だからここに書いたのは妄想と思ってもらっていいのですが、想像力は走り続けるんですね。つまり、もしも自分が間に合わなかった人だったとして、そこから現実をひっくり返す方法はないだろうか?って考え始める。いや、現実と言おうか、作家として作家の力で、虚構の力で、まだ何か出来ることがあるのではないか、みたいな。演劇でなら出来る何かが何処かにあるかも知れない。それで、暴走って思ってもらっていいのですが、そんな暴走の先に書いたのが、僕の幾つかの作品で、今回の『脱兎』だったりする訳です。暴走の果て、迷い込んだ迷路に、的確に一つの矢印を書き加えたい、そんな祈りにも似た思いを込めて。作品についての話はここまでです。さて、今回の公演、すごく多様なベクトルを持った、バラエティに富んだ出演者に恵まれて、とても面白い公演になりそうです。皆が皆とても違う背景を持っていて個性的で、こりゃあなたの推しがここで見つかるかも、って思います。もし良かったら、ぜひお時間を割いてもらって、来年には幻になってしまう日暮里繊維町にある劇場にお越しください。丁寧に、心を込めて、不可思議な物語にてお迎えいたします。」という原稿を書き上げ、急ぎ制作さんに持って行って文字校正をお願いしたところ、長堀さん、あのー、なんで体が温かいって知っているの?と言われました。本当は何があったの?って。年末の忙しい時期の公演ですが、どうか本当に、よろしくお願いいたします。約2年ぶりになる、久しぶりの実演鑑賞公演、席数を半分ほどに限定して、感染対策を油断せず普通に行って、劇場に来られることをお待ちしております。2021年、冬、長堀博士、記。