10/05/2026
尾形凌×真田将太朗「CUE」
東京藝術大学で同じ時代を過ごし、卒業後にはそれぞれ異なる軌跡を辿ってきた二人の表現がひとつの場に溶け合い、ここにしかない質感として空間を満たした本展覧会。
本展に際し、尾形はこれまでの作品と新作を織り交ぜながら、数多くの作品群を通してその内奥にひろがる世界を空間へ滲ませています。一方で真田は、西麻布や六本木の風景にまなざしを向け、記憶と時間をすくい上げるように作品を紡ぎました。
それぞれの作品群に加え、本展のハイライトとなったのが、両者による共作です。
重なり合う二人の気配は完全に溶けきることなく、それぞれの輪郭を保ちながら共鳴しています。個々の作品を辿ったのち、空間の奥に現れるその作品に向き合うとき、そこには視覚的なものにとどまらず、同時代を生きる彼らだからこそ抱えうる苦悩や歓びが、互いへの深いリスペクトとともに封じ込められています。それは単なる共演ではなく、尾形と真田、二人によってのみ立ち現れる新たな質感であり、本展を象徴する存在となりました。
会期中にはさまざまなイベントも開催。オープニングレセプションでは、尾形と学生時代からの関係性を背景に持つオルタナティブヒップホップユニット《KOMOREBI》がシークレットライブを行い、言葉と音が作品を包み込みました。そして終盤に開催されたトークイベントでは、本展に至るまでの軌跡や、それぞれの思考が語られ、本展をより深く読み解くための契機となりました。さまざまな縁が交差し、展示は会期を通して奥行きを深めていきました。
併設のバーでは、展覧会のコンセプトを味覚へとひらく試みとして、日本ワインをセレクト。岡山県の「ドメーヌ・テッタ」のワインは、時間と可能性を内包しながら醸され、空間に満ちる絵画作品と静かに呼応しています。
大きな画面のそばで、自然栽培の野菜を中心とした食事とともに、視覚と味覚がゆるやかに重なり合うひとときをお楽しみいただきました。
ご来場くださった皆さま、そして本展に関わってくださったすべての方々へ、心より深く感謝申し上げます。